工業用水ろ過工程の課題解決|コスト削減のポイント
工場で使用される水は、製品の品質や設備の寿命に大きな影響を与えます。
しかし、工業用水はそのままでは微粒子や溶解成分を含み、設備トラブルや品質不良の原因になることがあります。
このページでは、工業用水をろ過する際の基本的な流れや、現場で直面する課題とその解決策をわかりやすく解説します。
工業用水を活用するメリット
産業分野(化学、鉄鋼、非鉄、製紙、飲料、半導体、発電、etc.)では、製品製造など様々なプロセスにおいて大量の水が必要です。
しかし、水道水は単価が高く、大量使用には不向きなため、工業用水を活用することで大幅なコスト削減が可能となります。
工業用水活用の一般的なフロー
各分野において後段のフローは異なりますが、いずれのプロセスにも共通して存在するのが前段の「ろ過工程」です。
今回は、工業用水における「ろ過工程」に焦点を当て、その範囲について説明します。

ろ過の目的と重要性
外部から供給された工業用水には、微粒子や溶解成分が含まれており、設備トラブルや品質不良の原因になります。
ろ過によってこれらを除去し、設備保護と製品品質の確保を実現することが重要です。
ろ過の主な目的は以下の通りです。
・設備保護 :ポンプ・配管・熱交換器などのスケールを防ぐ
・ 製品品質の確保:微粒子や溶解成分を除去し、品質を安定化
工業用水ろ過の課題と解決策
工業用水ろ過で生じる代表的な課題と、それに対する解決策について解説します。
1.前ろ過(砂ろ過)に対する課題
砂ろ過は広く採用されている前処理方式ですが、ろ過速度に制約がある点が大きな特徴です。このろ過速度の制約により、さまざまな課題が生じています。
●設備に要する設置面積が大きい
面積あたりに得られるろ過水量が少ないため、必要な処理量を確保するには広いスペースを要します。
そのため工場では、後から設備を増設しようとしても、設置スペースの制約により導入が難しいケースがあります。
●設備重量が大きく、基礎工事が必要となる
増強時の導入にあたっては基礎工事を伴うため、既設設備を稼働させた状態での施工が難しい場合があります。加えて、近年重視されている耐震性の観点でも課題となります。
●洗浄に多くの水・電力を要する
ろ過速度が遅いため、必要な処理量を確保するには設備自体を大型化する必要があります。
その結果、洗浄工程において使用する水量や電力も増加し、運用負荷が大きくなる傾向があります。
●ろ過精度が低い
ろ材に砂を使用しているため、ろ過精度には限界があります。
ろ過精度を上げるために、標準的なろ過砂の粒径である(約0.6mm)を微細化する必要がありますが、ろ過速度の低下を招くため現実的ではありません。
そのため、ろ過水質の向上には一定の限界があり、目標の水質を満たすうえで課題となる場合があります。
●メンテナンス性が低い
ろ材に砂を使用しているため、充填量が多く重量も大きくなります。
そのため、交換作業には重機や多くの人手に加え、長期間の作業が必要となる場合があります。
また、ろ材は定期的な交換(目安:3~5年)が必要であり、維持管理の負担が大きい点も課題となります。
解決策
これらの課題に対し、前処理工程の砂ろ過装置を繊維ろ過装置に置き換えることで、効率的かつ安定したろ過工程を実現します。
●高速ろ過
繊維ろ材は砂と比較して密度が低く、ろ材内部まで水が通過する構造を持つため、圧力損失が小さく通水性に優れています。
これにより、従来課題であったろ過速度の制約を解消し、高速での処理が可能となります。
●省スペース・省エネルギー
高速ろ過が可能となることで、同一処理量に対する設備規模をコンパクトに抑えることができます。
その結果、設置面積の削減や設備重量の軽減につながり、基礎工事の負担も低減されます。また、運転に必要なエネルギー消費の抑制にも寄与します。
●節水効果
装置のコンパクト化および効率的な洗浄により、洗浄排水量を抑えることが可能です。
●高いろ過精度
繊維ろ過装置(IDW-MF)は、無薬注でも1μm程度までの懸濁物質(SS)の除去が可能です。
砂ろ過(一般的に10~15μm程度の除去)と比較して微細粒子の除去性能に優れており、1~10μmの粒子が含まれる用途では特に効果を発揮します。
さらに、PACを併用することでMF膜レベルの処理水を得ることも可能であり、より高い水質要求にも対応できます。
●優れたメンテナンス性
繊維ろ材は比重が軽く、使用量も少ないため、取扱いが容易です。
ろ材交換時にも重機や大規模な人員・長期間の作業を必要とせず、メンテナンス負荷を大幅に軽減できます。
また、ろ材の交換頻度も約10年と長く、維持管理コストの低減にもつながります。
2.膜処理に対する課題
工業用水の高度処理や排水リサイクルにおいては、活性炭処理や膜ろ過が一般的に採用されています。
一方で、これらの方式は微細な粒子や溶解成分まで除去できる反面、活性炭や膜の目詰まりが発生しやすいという特性があります。
そのため、安定した運転を維持するには頻繁な逆洗や薬品洗浄が必要となり、使用水量の増加やランニングコストの上昇を招く点が課題となっています。
解決策
前処理として繊維ろ過装置を導入することで、流入負荷を低減し、活性炭および膜への影響を大幅に抑制することが可能です。
●洗浄頻度の低減による節水
前段で懸濁物質(SS)を効率的に除去することで、膜及び活性炭の目詰まり進行を抑制します。
●薬品使用量の削減
膜への汚れ付着が抑えられることで、薬品洗浄の回数および使用量を抑制できます。
その結果、運用にかかる薬品コストの低減が可能となります。
●設備寿命の延長
活性炭や膜への汚れの付着・蓄積が抑えられることで、洗浄頻度が軽減され、性能低下や劣化の進行を軽減できます。
交換周期の延長が可能となり、設備の長寿命化に寄与します。
これらの効果により、水使用量・薬品コスト・部材交換費が削減され、膜処理工程全体におけるランニングコストの大幅な低減につながります。
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IDW型 下向流式高速繊維ろ材ろ過装置 |
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IDW-MF型 精密ろ過装置 |
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